2026-03-07
(更新: 2026-08-15)
ワイングラスで味は変わる|自宅は万能型2脚で足りる理由
約4分で読めます
執筆・監修: 平沼柊哉(J.S.A.認定ワインエキスパート)
グラスを替えると味が変わる。これは本当です。ただし変わっているのは舌が感じる味そのものではなく、香りの立ち方と、液体が舌のどこに落ちるかという2点にすぎません。
もっとも、その2つが変われば印象は変わります。
形が効く仕組み
ボウル(膨らんだ部分)が大きいほど、中で香りが溜まります。ワインは空気に触れるほど香りがほどけていくので、液面の表面積が広く取れるグラスほど、同じ一杯でも香りが早く開きます。重い赤に大きなグラスを使うのはこのためです。
飲み口の広さも効きます。すぼまっていれば香りが逃げずに鼻へ集まり、広がっていれば液体が舌の前方に落ちて甘みを感じやすくなる。
脚(ステム)は温度のためです。ボウルを握れば手の熱が伝わります。冷やした白ならすぐぬるくなる。脚を持つのは作法である以前に、温度を守るための持ち方です。
種類は4つ知っていれば足りる
| 種類 | 形 | 向くワイン |
|---|---|---|
| ボルドー型 | 縦に大きい | 重めの赤 |
| ブルゴーニュ型 | 丸く膨らむ | 繊細な赤、香り重視 |
| 白ワイン用 | やや小ぶり | 白全般 |
| フルート型 | 細長い | スパークリング |
ボルドー型は縦に大きく、タンニンの強い赤の渋みを和らげます。ブルゴーニュ型は丸い。香りを溜めて開かせる形で、ピノ・ノワールのように香りで勝負するワインに使います。
白ワイン用が小ぶりなのは冷たさを保つためです。大きいと温度が上がる。フルート型が細いのは泡のためで、液面の表面積が小さいほど炭酸が抜けにくく、最後の一口まで泡が残ります。
自宅は万能型を2〜4脚
品種別に揃える必要はありません。
最初は万能型を2〜4脚。赤白どちらにも使える中くらいのボウルのもので、来客の人数に合わせて数を決めます。日常の9割はこれで足ります。
買い足すのは好みがはっきりしてからです。重い赤ばかり飲むと分かった時点でボルドー型を足し、香りを追いたくなった時点でブルゴーニュ型を足す。この順番を逆にして先に6種類揃えると、ほとんど使わないグラスが棚を占領することになります。
スパークリング用も後回しでいい。万能型で飲めます。泡の持ちは落ちますが、家で飲む量なら気になりません。
薄いグラスのほうが口当たりは良い。ただし割れます。最初の数脚は割れても惜しくないものにして、扱いに慣れてから薄手へ移るほうが結果的に安く済みます。
手入れは3点だけ
洗剤は少なめに。香りが残ると次のワインに移ります。ぬるま湯が基本です。
拭くときはボウルと脚を別々に持ってください。片手でボウルを押さえて脚をひねると、そこで折れます。実際グラスが割れる場面のほとんどは、飲んでいる最中ではなく洗浄と拭き上げのときです。
保管は立てて。伏せると飲み口に力がかかります。匂いもこもる。
店ではグラスは選べない
ワインバーではグラスは店が選びます。ワインに合わせて形を替えるのが店の仕事だからです。
同じ日に違うグラスが出てきたら、そこに意図があります。「なぜこのグラスなんですか」と聞けば、そのワインの何を見せたいのかが返ってくる。説明しがいのある話題です。
グラスの種類数は掲載店の中央値が32種。それだけの種類を出す店は、当然グラスも複数用意しています。家で1脚ずつ買い足すより、店で違いを体感するほうが早い。
- ソムリエに相談できる店
- エリアからワインバーを探す
- 用語が気になったら: ワイン用語はこれだけ
よくある質問
Q. ワイングラスで本当に味が変わりますか?
A. 変わります。厳密には味覚そのものより、香りの立ち方と液体が舌に届く位置が変わります。ボウルが大きいほど香りが溜まって開き、飲み口の広さで液体が舌のどこに落ちるかが決まるためです。
Q. 自宅にワイングラスは何脚必要ですか?
A. 万能型を2〜4脚あれば足ります。赤白兼用の中くらいのボウルのもので、来客の人数に合わせて数を決めてください。品種別に揃えるのは、自分の好みがはっきりしてからで間に合います。
Q. ワインバーではグラスを選べますか?
A. 基本は店が選びます。ワインに合わせて形を替えるのが良い店の仕事で、同じ日に違うグラスが出てきたら意図があります。気になったら理由を聞くと、その店のワインへの考え方が分かります。
この記事の執筆・監修
平沼柊哉
「こよいのワイン」の開発・運営者。2024年に一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)認定ワインエキスパートを取得。ワインエキスパートとしての知識をもとに、サイト内のブログ記事・コンテンツの執筆と監修を担当しています。
プロフィールを見る


