2026-02-15
(更新: 2026-09-11)
ナチュラルワインとは?オーガニックとの違い・味の傾向・店の探し方
約7分で読めます
執筆・監修: 平沼柊哉(J.S.A.認定ワインエキスパート)
ナチュラルワインとは、ぶどうの栽培から醸造まで、できるだけ人の介入を抑えて造るワインの呼び方です。「自然派ワイン」「ヴァン・ナチュール」とも呼ばれます。有機栽培のぶどう、野生酵母による発酵、酸化防止剤の添加や濾過を控える造り方がよく見られます。
ただし、「ナチュラル」という呼び名だけで造り方や味が一律に決まるわけではありません。何を抑え、何を必要と考えるかは造り手によって異なります。エノテカの解説も、栽培と醸造の両面からその傾向を説明しています。

オーガニックとは重なる部分があるが、同じ意味ではない
オーガニックは、有機の基準に沿った生産や認証に関する言葉です。ナチュラルワインは、栽培に加えて、発酵や瓶詰めまでの介入を抑える考え方を表します。有機認証のあるワインがナチュラルとして紹介されることもありますが、認証だけでは酵母の種類や濾過の有無までは分かりません。
| 確かめたいこと | 見るところ |
|---|---|
| 有機の基準を満たしているか | 有機JASなどの認証表示 |
| どのように発酵・瓶詰めしたか | 生産者や輸入元による酵母・濾過・添加の説明 |
| 自分の好みに合うか | 色だけでなく、酸味・渋み・香りの説明 |
日本の有機酒類は有機JAS制度の対象です。購入時には「自然派」という紹介文と、有機の認証表示を分けて確かめると理解しやすくなります。制度の詳細は農林水産省の有機食品の検査認証制度で確認できます。
ナチュラルワインにも、独自の基準を明示する取り組みがあります。フランスのVin Méthode Natureの公式基準は、有機認証を受けたぶどう、手摘み、野生酵母などの条件を定めています。このラベルは、ナチュラルと呼ばれるすべてのワインに付いているものではありません。
また、ナチュラルでも酸化防止剤を少量添加する場合があります。Vin Méthode Natureでも添加の有無で表示を分けています。「ナチュラル=必ず無添加」と考えず、気になる場合はボトルや造り手の説明を確認しましょう。
こよいのワインで自然派を扱う店は1,162件。掲載12,357件の1割弱です。
造り方の違いが味に出る
| 一般的なワイン | 自然派ワイン | |
|---|---|---|
| 農法 | 慣行農法 | 有機・ビオディナミ |
| 酵母 | 培養酵母 | 天然酵母 |
| 亜硫酸塩 | 通常量を添加 | 無添加〜少量 |
| 濾過 | する | しないことが多い |
培養酵母なら発酵の進み方が読めます。天然酵母は、ぶどうに付いた菌に任せる。同じ畑でも年ごとに結果が変わります。この不確実性が味の幅の理由です。
味の傾向は4つに整理できます。
| 特徴 | 理由 |
|---|---|
| 果実味が前に出る | 余計な操作をしないぶん、ぶどうそのものの味が残る |
| 酸が複雑 | 天然酵母由来。単純な酸っぱさとは立ち方が違う |
| にごる | 無濾過で澱が残る。劣化ではない |
| 微発泡することがある | 瓶の中で発酵が少し進んだ結果 |
このうち初めて飲む人を戸惑わせるのは、にごりと、次に説明する香りです。
還元香は待てば消える
初めて飲む人がつまずくのはここです。栓を抜いた直後に、マッチを擦ったような、あるいは蒸れたような香りが立つことがあります。
これは還元香と呼ばれるもので、瓶の中で酸素が足りない状態が続いたときに出ます。不良ではない。グラスを回して5分ほど置けば、ほどけて果実の香りに変わります。待てばいい。店で気になったときは「まだ閉じていますか」と聞けば、待つべきか、それとももう飲みごろなのかを教えてもらえます。
温度も効きます。自然派は通常より少し冷やしたほうが輪郭が出ます。赤でも15度前後。冷蔵庫で冷やしておいて、飲む少し前に出すとこの帯に入ります。
最初の1杯はこの2タイプから
ひとつはペティアン・ナチュレル、通称ペットナットです。微発泡で果実味が強く、王冠で栓をしてあるものが多い。スパークリングと同じ感覚で飲めるので、自然派の入口としては一番抵抗が少ない。
もうひとつがオレンジワイン。白ぶどうを赤の製法で造ったもので、皮ごと漬け込むぶん色が濃く出て、白と赤のあいだにあるような味になります。渋みが少しあるので、料理にも合わせやすい。
どちらもグラスで置いている店が多いタイプです。まずは1杯から。
合わせる料理はシンプルなものを
凝ったソースより、素材の味が立った料理と合います。
- 白: 刺身、カルパッチョ、サラダ
- オレンジ: エスニック、スパイスを使ったもの
- 赤: 炭火焼き、煮込み
- ペティアン: 前菜、揚げ物
自然派を置く店のおつまみが簡素なのは、この相性を分かっているからです。手をかけないほうが合う。
店が集まっているエリア
1,162件の分布は偏っています。市区で数えると次の順です。
| エリア | 店舗数 |
|---|---|
| 世田谷区 | 51件 |
| 渋谷区 | 48件 |
| 目黒区 | 36件 |
| 中央区 | 34件 |
| 港区 / 新宿区 | 各25件 |
| 札幌市中央区 / 大阪市北区 | 各21件 |
上位3つは住宅街です。いっぽう港区のような会食中心の街では25件にとどまっていて、自然派が高級店ではなくカジュアルな個人店を通じて広がってきたという経緯が、そのまま件数の偏りに出ています。
東京以外なら札幌市中央区と大阪市北区が21件ずつ。地方にも受け皿はあります。
力を入れている店は外から見て分かります。メニューに「ナチュール」「ビオ」の表記があり、産地にロワール・ジュラ・ボジョレーが並び、カウンター中心の小さな作り。3つ揃えば期待できます。
探し方
まずグラスで1杯。にごりも還元香も、理由が分かってくると面白くなります。
よくある質問
Q. 自然派ワインと普通のワインの違いは?
A. 有機栽培のぶどうを使い、野生酵母で発酵させ、添加や濾過などの介入を抑える傾向があります。ただし全商品に共通する一律の認証ではなく、造り手ごとに方法は異なります。フランスには独自の基準を設けたVin Méthode Natureというラベルもあります。
Q. 自然派ワインが飲めるお店はどう探せばいい?
A. こよいのワインでは自然派を扱う店を1,162件掲載しています。市区で数えると世田谷区51件、渋谷区48件、目黒区36件が多く、東京以外では札幌市中央区と大阪市北区が21件ずつ。条件で絞って探せます。
Q. 自然派ワインが濁っているのは劣化ですか?
A. 濁りは無濾過で瓶詰めしているためで、劣化ではありません。栓を抜いた直後にマッチのような香りが立つ「還元香」も同様で、グラスを回して少し待てばほどけていきます。
この記事の執筆・監修
平沼柊哉
「こよいのワイン」の開発・運営者。2024年に一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)認定ワインエキスパートを取得。ワインエキスパートとしての知識をもとに、サイト内のブログ記事・コンテンツの執筆と監修を担当しています。
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